ミトコンドリアの活性化と疲労回復|細胞のエネルギーと「光」の関係
「しっかり寝ているのに疲れが取れない」「休んでも本調子に戻らない」
そんな不調の原因として、細胞の中でエネルギーを作っているミトコンドリアの働きが関わっている可能性があります。
ミトコンドリアを元気に保つ方法として知られているのは、運動・食事・睡眠の3つ。
しかし近年では、これらに加えて「光」が注目されています。赤色や近赤外線の波長がミトコンドリアに吸収され、エネルギーの生産を後押しする可能性が研究されているためです。
この記事では、ミトコンドリアが弱ると何が起きるのか、そして活性化のために日常でできることを、光との関係を中心にご紹介します。
1967年、ハンガリーの外科医エンドレ・メシュターは「レーザー光がガン細胞に与える影響」について研究していました。
とある実験中、想定外のことが起きます。
レーザーを当てたマウスの傷が、明らかに早く治っているのです。
毛の伸びが速く、光を当てただけで身体の回復が加速していきます。

なぜそうなるのか、当時は誰にも説明できませんでした。
この謎が解かれるのは、それから数十年後のこと…
答えは、私たちの身体の中でエネルギーを作り続けている
「ミトコンドリア」の中にあったのです。
体内エネルギーの約9割を担うミトコンドリア

ミトコンドリアは、私たちのあらゆる生命活動に必要なエネルギーを
休むことなく作り続けている「エネルギー生産工場」のような存在です。
ミトコンドリアは、生命活動維持に必要なエネルギー(ATP)のほとんどを生産しているとも言われています。
ミトコンドリアが元気でいなければ、身体は満足に動けないのです。
ミトコンドリアが弱ると、何が起きるか

ミトコンドリアの数と機能は、年齢とともに少しずつ低下していくと考えられています。体質・生活習慣にもよりますが、一般には20代ごろを境に、30代・40代と徐々に減少していくと報告されています。
問題なのは、その影響が「疲れやすさ」だけにとどまらないことです。
ミトコンドリアが弱ると…
- エネルギーが十分に作れなくなる → 慢性的な疲労感
- 脳のエネルギーが不足する → 集中力や思考力が低下
- 細胞の修復が追いつかなくなる → 肌のハリや回復力に影響
- 酸化ダメージへの対抗力の低下 → 老化そのものが加速
私たちの生命活動のあらゆる側面に影響が出てきます。
よく「歳をとると疲れやすくなる」というお声を聞きますが
それは、ある意味で「ミトコンドリアが減るから」でもあるのです。
ミトコンドリアを活性化する3つのポイント

ミトコンドリアを元気に保つための方法として
よく紹介されるのが「運動」「食事」「睡眠」の3つです。
ウォーキングや軽いジョギングなどの有酸素運動はミトコンドリアを増やし、機能を高めると言われており、「ミトコンドリアは、使うほどに増える」という表現もあるほどです。
食事面では、ミトコンドリアがエネルギーを作る過程で発生する活性酸素への対策が重要になります。ビタミンC・E、コエンザイムQ10といった抗酸化成分が注目されているのはそのためです。
そして睡眠。眠っている間に、ミトコンドリアは修復・再生されます。眠りが浅いと、ダメージの蓄積が翌日に持ち越されてしまいます。
運動、食事、睡眠。
どれも健康のために大切だと言われていることばかりで、既に気をつけている方は多いかと思います。それでも「疲れが取れない」という方もいらっしゃいますよね。
ここからは、ミトコンドリアを活性化させるための、もう1つのアプローチについてご紹介していきます。
なぜ光がミトコンドリアに働きかけるのか

記事の冒頭でご紹介したメシュターの発見。
「光が体の回復を早めた」という不思議な現象は謎に包まれていました。
転機が訪れたのは1980〜90年代のこと。
ロシアの科学者ティナ・カルらの研究によって、
ようやく一つの仮説が立てられます。
光が傷の回復を早めた理由。それは…
ミトコンドリアの中にある「シトクロムc酸化酵素」という酵素が
赤色・近赤外線の光を吸収していたからでした。
この酵素は、ミトコンドリアがエネルギーを作る過程で中心的な役割を担っています。そこに特定の波長の光が当たることで、エネルギーの生産が促進される可能性があることが示されたのです。

この現象は、最近ではフォトバイオモジュレーション(光生体調節)と呼ばれ、世界中で研究が進められています。
光を浴びることがエネルギーを作ることを助ける可能性がある。
これが、光療法に関する科学的な出発点です。
現代の光環境と健康状態

私たちの祖先は、日の出とともに太陽光を浴び、日中は屋外で過ごし、日没とともに暗い環境で眠っていました。
太陽光には赤色・近赤外線の波長が豊富に含まれています。
一方で、現代の生活はどうでしょうか。
日中も室内にいて、窓ガラス越しにわずかな光を受けるだけ。
蛍光灯やデジタル画面の前で長時間過ごし、夜になっても明るい照明の下で活動する。
こうした環境では、太陽光に含まれていた近赤外線の波長を、日常的に受け取ることが難しいですよね。
「疲れが取れない」「なんとなく本調子が出ない」
このような不調は「光の欠乏」が一因となっている可能性があるのです。
自宅でできる「光のケア」という選択肢

現代の日常生活の中で近赤外線を取り入れる方法として
近年注目されているのが近赤外線(NIR)セラピーライトです。
特定の波長(850nm・940nm)の近赤外線を、ピンポイントで照射するデバイスで、欧米ではウェルネス愛好家の間で広く普及しています。
近赤外線は美容分野でも注目されており、最近は日本国内でも近赤外線を使った美顔器などが若い方の間で話題になっているようですね。
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使い方はシンプルで、1日15〜20分程度、気になる部位に光を当てるだけ。
朝の身支度の前、入浴後のスキンケアタイム、就寝前のリラックスタイムなど、好きなタイミングで気軽に近赤外線を取り入れることができます。
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おわりに

疲労を感じたら、まずは休息を取ることが大切ですが
休んでもなかなか回復しない疲れを感じた時には
「ミトコンドリア」を意識してみると良いかもしれません。
すべての細胞でエネルギーを作り続けているミトコンドリア。
そこに「光」が関わっていることは、1967年の偶然の発見から始まり、今でも世界中で研究が続いています。
光という身近な存在が、疲労回復の新しい入り口となるかもしれません。
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