ラスカー賞受賞、睡眠研究の第一人者・柳沢正史教授も指摘「睡眠の質と夜の照明」
2026年、睡眠研究の第一人者として知られる筑波大学の柳沢正史教授が、ラスカー賞を受賞しました。ラスカー賞は「ノーベル賞の登竜門」とも呼ばれる、医学研究の世界で最も権威ある賞のひとつです。
10月に発表されるノーベル賞の有力候補としても名前が挙がり、いま睡眠という分野に、あらためて注目が集まっています。
この受賞のニュースをきっかけに、教授が以前から語ってきた、あるシンプルな指摘が、話題になっています。それは「日本の住宅は、夜の照明が明るすぎる」ということ。
夜、布団に入ってもなかなか寝つけない。しっかり寝たはずなのに、朝すっきりしない。
そんな悩みの背景に、実は「眠る前に浴びている光」があるかもしれない、という話です。
この記事では、睡眠科学が「夜の光」についてどう言っているのかを、生活の実感に翻訳しながらご紹介します。
(※以下でご紹介するのは、あくまで睡眠科学の一般的な考え方です。特定の商品を教授が推奨・監修しているという話ではありません。)
睡眠研究の第一人者、柳沢正史教授の発見「オレキシン」
まず、なぜこの方の言葉が注目されるのか、簡単にご紹介させてください。
柳沢正史教授は、筑波大学 国際統合睡眠医科学研究機構(IIIS)の機構長を務める、睡眠研究の第一人者です。1998年、睡眠と覚醒を切り替える働きに関わる物質「オレキシン」を発見したことで知られ、この発見は、日中に強い眠気に襲われる病気(ナルコレプシー)や不眠症の新しい治療薬の開発にもつながっていきました。

2026年、この一連の業績によってラスカー賞(基礎医学研究部門)を受賞。冒頭でも触れたとおり、ラスカー賞は多くの受賞者がのちにノーベル賞を受けていることから「ノーベル賞の登竜門」とも言われています。
つまり、これからお話しする「夜の光」の話は、単なる流行りなどではなく、睡眠を長年研究してきた立場からの指摘だということです。
「日本の住宅は、夜の照明が明るすぎる」

柳沢教授が、メディアで繰り返し語っているのが、この一言です。
「日本の住宅は、平均すると夜の照明が明るすぎる」
そして、こう続けます。
「100ルクスを切ったぐらいの明るさでも全然生活できるし(中略)その方が睡眠のためには絶対にいいです」
「100ルクス」って、どのくらい?
数字だけ聞いても、ピンとこないですよね。日常の明るさに置き換えてみましょう。

照明の明るさの目安(JISという国内規格)では、オフィスの事務作業のデスクでおよそ750ルクス、家族が集まるリビングの団らんで150〜300ルクスとされています。明るく照らされたコンビニやスーパーの店内は、その何倍もの明るさです。
こうして並べてみると、「100ルクスを切ったぐらい」というのは、団らんのリビングよりもさらに一段落とした、ぼんやりと暖かい灯りくらい。多くのご家庭の夜のリビングは、それよりもずっと明るいはずです。
教授が言っているのは、「暗くして不便に暮らそう」ということではありません。生活に困らないだけの明かりがあれば本来は十分で、夜はそのくらい控えめでいい、という話です。
なぜ、夜の光が眠りを妨げるのか
では、なぜ夜に明るい光を浴びると、眠りに影響するのでしょうか。
ここには、体の仕組みが関わっています。

私たちの体には、約24時間の周期で働く「体内時計」が備わっています。この時計の針を合わせているのが、目から入ってくる光です。目の奥には光の強さや色を受け取るセンサーがあり、その情報が体内時計の司令塔に伝わって、眠気に関わるホルモン「メラトニン」の分泌リズムを左右していきます。
メラトニンは、夜になると分泌が増えて、体を自然と眠りへ向かわせるホルモンです。ところが、夜に強い光を浴びると、体は「まだ昼だ」と受け取って、このメラトニンの分泌を抑えてしまう。すると、時間になっても眠気がやってこない、ということが起こります。
やっかいなのは、これがこうこうとしたまぶしい光でなくても、ごく弱い薄明かりでも起こりうると言われている点です。夜の光は、思っているより静かに、眠りの準備に影響しているのです。
寝室だけ暗くしても足りない。決め手は"寝る前のリビング"
「じゃあ寝室を暗くすればいいんだね」と思われたかもしれません。
ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
睡眠と光の関係を研究する福田一彦教授(江戸川大学)は、こう指摘しています。
「睡眠にかかわっているというと寝室の照明だと思われるだろうが、寝室に行った時には手遅れ。寝る1〜2時間前に過ごす部屋の照明をどうするかが非常に重要」
(J-CASTニュースより)
つまり、重要なのは寝室だけではなく、眠る前の1〜2時間をいちばん長く過ごす部屋。
多くの場合はリビングやダイニングの光が、眠りの入り口を左右しているということです。福田教授は、この時間帯の部屋を50ルクス程度まで落とすことをすすめています。

考えてみれば、当たり前のことかもしれません。寝室に入るのは、眠るほんの数分前。その直前まで、明るいリビングでテレビやスマホを見て過ごしていたら、体はまだ昼のモードのまま寝室に連れてこられることになります。寝室だけを暗くしても、間に合わない。ここが、意外と見落とされがちなところです。
柳沢教授も、夜になったら暗めのところで過ごすことが睡眠への導入になる、という趣旨を語っています。整理すると、「寝室を暗くする」の一歩手前に、「夜のリビングを明るくしすぎない」がある、ということですね。
昼は明るく、夜は暗く暖かく。
ここまでをまとめると、眠りのための光の整え方は、実はとてもシンプルです。
昼は、明るく。夜は、暗く暖かく。
日中はしっかり明るい光(できれば窓際や屋外の自然光)を浴びておくと、体内時計のメリハリがはっきりして、夜になったときに休むほうへ切り替わりやすいと言われています。そして夜、とくに就寝前の1〜2時間は、リビングの光を落として、オレンジがかった暖かい色みにしていく。この一日の流れが、自然な眠りを支えてくれます。
ただ、これを毎晩手動で調整し続けるのは、なかなか手間で大変です。
夕方になったら照明を絞って、色を暖色に変えて、寝る前にはさらに落として……と、頭ではわかっていても、忙しい日々のなかで毎日きっちりやるのは大変です。「今日は早く寝よう」と決めても、明るいリビングにいれば、体はまだ昼だと受け取ってしまう。生活リズムは、根性で整えるより、環境のほうで整うようにしておくほうが、ずっと続きやすいものです。
時間帯で光が変わるLED照明という選択肢
その「毎晩手動で落とすのは続かない」という問題への、ひとつの答えになるのが、時間帯に合わせて光そのものが変わっていくLED照明です。
ALLIGHT.では、光が人体に与える影響に着目し、健康に特化した光として設計されたLED照明「明王 Myo-Ou」を取り扱っています。
明王 Myo-Ouは、(株)グリーンユーティリティーが開発・販売している日本製のLED照明です。
一般的な白色LEDとは異なり、太陽光の波長構成に近い形で設計されていて、青色波長の過剰な放射を抑えています。演色性が高く、物の色が自然に見える設計です。
そして、部屋全体を照らすシーリングライトは、時刻に応じて、太陽光と同じリズムで光の色合い・明るさが自動で変化していきます。リモコンで時刻を設定しておけば、あとは器具のほうが、朝は明るい光へ、夜は暖かく落とした光へと切り替えてくれる。つまり、この記事でお話しした「昼は明るく、夜は暗く暖かく」という考え方を、自分で操作しなくても自動で担ってくれる設計になっています。
念のため補足すると、「これを使えば必ず眠れる」「夜の照度が確実に100ルクス以下になる」といったことをお約束するものではありません。あくまで、睡眠科学が示す"夜は暗く暖かく"という光の方向性に沿って設計された照明、という位置づけです。
「睡眠の質と夜の照明」まとめ

- 睡眠研究の第一人者・柳沢正史教授は「日本の住宅は夜の照明が明るすぎる」と指摘している。
- 眠りの決め手は寝室だけでなく、就寝前1〜2時間を過ごすリビングの光。ここを落としておくことが大切だとされる。
- 整え方はシンプルで、「昼は明るく、夜は暗く暖かく」。ただし毎晩手動で続けるのは難しい。
- 時間帯で自動的に光が変わる照明は、その"夜は暗く暖かく"を、操作せずに担ってくれる選択肢のひとつ。
夜、なかなか寝つけないのは、あなたの意志が弱いからではありません。体は、浴びている光に正直に反応しているだけなのです。
だとすれば、責める先を自分から「光の環境」に移してみる。それだけで、少し肩の力が抜けるのではないでしょうか。
毎日いちばん長く浴びている光を、少しだけ変えてみる。
まずは、今夜のリビングをいつもより少し明るさを和らげることから始めてみてください。
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